肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)

これはいわゆる四十肩・五十肩です。
これは、中年以降(特に40~50歳代に多い)に発生する肩関節の痛みと、動きの制限(肩が挙がらない・腕が後ろに回らないなど)を伴うものです。


痛みの中には、夜に寝ていて痛みで目が覚めること(夜間痛)や、冷えによって起こる痛みもあります。

肩関節周囲炎は、名前の通り、肩の周りの炎症ですので動きに制限があり、動かすと痛むからといって、骨に異常があるわけではなく、肩関節の周りの筋肉の腱・靭帯などの軟部組織の炎症です。

なぜ中年以降に多いかというと、その軟部組織が老化して弱くなる(変性する)と肩を動かすことで摩擦が起こり、炎症が起こります。
この炎症が起こる場所には肩関節の動きを良くするための袋(滑液胞)があり、そこが固まることで動きが悪くなります。

■症状の現れ方
症状は、肩あるいは方から上腕にかけての痛みと肩関節の動きが悪いというのが最初に現れます。しかも、ある日突然痛みだすことが多いです。
その時は昨日自分が何をしたのかを思い出してみてください。何か重いものを持ち上げたり、いつもしないようなこと(腕を使うこと)をしているはずです。
そこで弱くなった軟部組織に傷がついて痛みを出します。

肩関節周囲炎は症状によって3期に分けられます。
> 急性炎症期
痛みが一番強く、安静にしていても痛みます。しかも、夜、寝ていても痛みで目が覚めてしまいます。
肩の広範囲が痛く、肩から上腕に痛みが走ります。(放散痛)
> 慢性期
安静時の痛みは消えて、肩を動かした時の痛み(腕を上げる途中での痛み)があり、肩関節の動きの制限が残ります。
特に髪を結ぶ・エプロンの紐を結ぶ・髪を洗う・服を脱ぐ、着るなどに支障をきたします。
> 回復期
動きの制限や動かしたときの痛みが消えて治ります。

■治療
治療は、痛みの強いときはひとまず三角巾で腕を吊るなどして、痛みを感じない姿勢で安静にしてください。
痛みが落ち着いたら、マッサージ(手技療法)・電気や超音波などの物理療法・温める(温熱療法)・ストレッチ(運動療法)などを行います。
肩関節周囲炎は自然治癒しますが、治るのに約1~2年かかります。その間痛みに耐え続けるよりも、しっかりと治療することをお勧めいたします。
症状の出始めで治療すれば、個人差はありますが1ヶ月程度で症状は軽快しますよ。